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遺産相続の流れと費用とは

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◆遺産相続の流れ
相続の手続きには、期限の短いものや期限に遅れると不利益を被ってしまう手続きがあるため、注意が必要です。

また、手続き自体も非常にたくさんあるため、それぞれの順序に沿って解説をしていきたいと思います。

相続手続きの流れを簡略化すると以下のような形になります。
【1】遺言書の有無の確認
【2】相続人の調査・確認
【3】相続財産の調査
【4】遺産分割協議
【5】単純承認・相続放棄・限定承認の選択
【6】相続税の申告
【7】遺産分割協議書の作成
【8】相続登記
以上のような流れで相続の手続きを進めていくことになります。

 

【1】遺言書の有無の確認
遺産相続を始めるための大前提としては、被相続人が遺言書を遺しているか否かを確認しておきましょう。有効な遺言書がある場合には、これに従って処理されなければならないからです。

 

【2】相続人の調査・確認
遺言書が存在しない場合または遺言書で分割方法が決まらない相続財産が存在する場合には、法定相続人が協議して遺産分割の方法を合意により決定する必要があります。

また、法定相続人が全員集まらない状態で協議をしても、その遺産分割協議は無効となります。そのため相続人となるべき者が誰なのかを調査することが最優先となります。

相続人の調査方法としては、被相続人の出生から死亡までの戸籍謄本を集め、被相続人の子、両親、兄弟というように相続人の候補となる者を確定していきます。
この過程で、本来相続人となるべき者の戸籍も取得し、その人物が既に死亡していた場合は、さらにその者の相続人を更に特定することで相続人の範囲を確定していきます。

戸籍謄本を集める作業の具体的方法は以下の通りです。
・被相続人の最新の戸籍(出生から死亡までが書かれている戸籍)を本籍のある役所で取る
・取った戸籍より古い戸籍がある場合はその戸籍を取り、被相続人が出生した記載がある戸籍が出てくるまで遡る
・その戸籍謄本を確認し、法定相続人となる者全員分の出生から死亡までの戸籍謄本を取得する

非常に多くの作業が要求されるため、この作業だけでも専門家に依頼されることを検討するのも良いと思います。

 

【3】相続財産の調査
相続財産に含まれる財産には、土地や建物などの不動産、貴金属などの動産、預貯金・生命保険積立金などの金銭債権、株式・投資信託などの有価証券などがあり、あらゆる資産が対象となります。

また、相続財産には借金や住宅ローンなどの負債も含まれます。

 

【4】遺産分割協議
法定相続人と相続財産が確定した後は、相続人全員でどの財産を誰が相続するかについて協議をしていきます。
遺産分割は全員の合意がなければ成立せず、1人でも反対する相続人や協議に非協力的な相続人がいると、なかなか協議がまとまりません。

遺産分割協議には特段の期限がありませんが、協議を遅らせるほど相続財産が散逸したり、相続人の範囲が拡大するというリスクがあるため、できる限り早く対処する方が良いでしょう。

 

【5】単純承認・相続放棄・限定承認の選択
相続人は、被相続人の死亡後に「単純承認」「限定承認」「相続放棄」のいずれかを選択することになります。

単純承認については、被相続人の死亡後3ヶ月以内が期限となっていますが、限定承認も相続放棄もしなかった場合に単純承認をしたとみなされるため、財産を全て相続する場合には、特段何もする必要はありません。

問題となるのは、限定承認と相続放棄をする場合であり、両者ともに「被相続人の死亡を知った時から」3ヶ月以内に手続きを行わなければ、相続財産に負債がある場合にそれらをも承継することになってしまいます。

相続放棄と限定承認に関しては、当サイトの「相続財産に借金があった場合の相続放棄」という記事を参照していただけると幸いです。

 

【6】相続税の申告
相続人となるものは、相続ができることを知ってから10ヶ月以内に相続税の申告・納付をする必要があります。

もしこの期間を過ぎてしまうと、税金滞納状態となり、延滞税がかかってしまいます。また、そのまま放置していると、税務署から財産を差し押さえられる可能性も出てきます。

どうしても期限内に相続税を納められない場合には、「延納」「物納」という方法もあります。

相続税の還付請求の期限は、相続税の納付期限後5年間となります。つまり「相続開始を知った日の翌日から5年10ヶ月後」が還付請求の期限となります。

還付請求とは払い過ぎた相続税を、税務署への申告により返還を受ける制度です。
不動産の評価を誤った場合や計算を間違えていることに気がついた場合には、速やかに還付請求を行いましょう。

 

【7】遺産分割協議書の作成
遺産分割協議で話し合いがまとまった後は、相続人同士で合意に達した内容を「遺産分割協議書」にまとめておきましょう。
書式や書き方に指定はありませんが、書いておくべきポイントや注意点があるため、弁護士に依頼をすることで、のちにトラブルに発展することを避けることができます。

 

【8】相続登記
相続登記とは、被相続人から相続した不動産について、相続を原因とする所有権移転登記をすることを指します。
この相続登記は2024年4月1日から義務化されることとなっています。

義務化の理由としては相続時に登記がされなかったことにより所有者不明の土地が増えていることが原因とされています。

そして相続登記が必要な場合は主に3つのケースに分けることができます。
・不動産の相続時
・相続した不動産の売却時
・相続した不動産を担保として銀行から融資を受ける時
の3つとなっています。

後者2つに関しては、その都度登記をすることとなりますが、重要なのが一番最初に記載した不動産の相続時の登記です。

不動産相続の場合は、相続を知った日から3年以内に正当な理由なく登記・名義変更をしなかった場合には10万円の過料の対象となります。
また、遺産分割に関しても同様で、遺産分割の日から3年以内に登記義務が発生します。

また、相続登記義務化は法改正後に発生した相続のみならず、法改正以前から相続登記をしていない不動産についても適用があります。

そのため、現時点では義務化が始まってはいませんが、過料の対象となってしまうため、相続登記をする必要があります。

 

◆遺産相続にかかる費用の相場
遺産相続の依頼をした場合の弁護士費用は、相談料、着手金、報酬金の3種類に分けられます。
相談料は無料としている事務所も多数あり、有料の場合であっても相談料としては30分5500円が相場となっています。

着手金とは、弁護士に遺産分割協議や調停などの依頼をした際にかかる費用となっており、依頼と同時に銀行送金や現金での支払いを行います。
金額は20〜30万円が相場となっていますが、遺産の価額や状況が複雑となっている場合には、それらに応じて金額が上がるケースもあります。

報酬金とは実際に遺産相続問題が解決されたときに支払う費用となっています。こちらも銀行送金や現金での支払いとなっています。
金額に関しては、得られた経済的利益に応じた計算となるのが一般的となっています。
例えば、経済的利益が300万円以下の場合であれば報酬金は、その利益の16%ほどが相場となっており、この割合は経済的利益が大きくなるほど下がっていきます。

また弁護士費用だけではなく、実費として調停を申し立てる際の印紙代などもあります。
遺産分割協議であれば1〜3万円、調停の申し立てであれば1〜5万円が相場となっています。

北千住フェニックス法律事務所では、関東を中心に、東東京の皆様からのご相談を承っております。相続問題を抱えてお悩みの方はお気軽に一度ご相談にお越しください。